本年度の研究では、作業別の特性を明らかとするために、対象となる高齢者を3群(園芸療法群10名、音楽療法群10名、統制群10名)に分けて検証した。各群の対象者は、属性、認知機能、日常生活機能、及び精神機能について、あらかじめマッチングを行い設定した。園芸療法群における作業は、植物を主体的に育てるプログラムとした。音楽療法群においては、歌唱と合奏を混ぜたプログラムとした。統制群は、全く介入を行わない対照群であった。各療法の回数は10回とし、期間は3ヶ月間行った。検査項目は、精神機能面はPGCモラールスケール、GHQ-28、認知機能面はHDS-R、FABを使用し、研究実施1ヶ前、研究実施直前、研究終了直後、および研究終了1ヵ月後に測定した。各検査結果では、対照群のすべてにおいて有意な差が見られない中、園芸療法では、PGCモラールスケール、HDS-R、FABにおいて有意な得点の上昇、GHQ-28では有意な得点の減少が見られた。一方、音楽療法では、GHQ-28で有意な得点の減少となり改善がみられ、作業の違いにより得られる効果に差が生ることが明らかとなった。次年度は、作業中の対象者の変化を分析し、各作業における相違の要因について検討したい。
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