本研究では、幼児期においてさまざまな栄養素や食品の摂取量を個人レベルで、ある程度の妥当性をもって推定するための調査方法の構築を試みた。これまでの研究において試作した3歳児用の簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ3y)の妥当性を検討し、栄養教育の現場で活用可能なプログラムの開発を行なった。 1.これまでの研究により、幼児(3~4歳児)が日常的に摂取する食品の種類及びそれらの食品を1回に摂取する重量の代表値を決定した。このデータベースならびに既に開発がされている成人用の簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)の計算プログラムをもとに、幼児のエネルギーならびに栄養素摂取量を推定するために必要なBDHQ3yの計算プログラムの開発を行った。 2.61人の小児(3~4歳)を対象に昨年度にBDHQ3yへの回答を依頼し、その直後に実施した3日間秤量式食事記録のデータベースをを用いて、食事記録で得られたデータから算出した熱量および各種栄養素摂取量(これを仮の真値とする)とBDHQ3yから推定した熱量および各種栄養素摂取量を比較することによって、BDHQ3yの妥当性を検討した。 その結果、相関係数は0.53から0.01の範囲にあった。この結果よりBDHQ3yは一定の妥当性を有することが明らかとなったが、同時に解決すべき課題も多く明らかとなり、今後詳細な分析が必要であると考えられた。 3.栄養教育現場において科学的かつ効果的な活用を促すために、BDHQ3yから得られる食事習慣に関する個人結果票を開発した。そして、食事調査から個人結果票の出力まで速やかに行うことが可能なプログラムならびにシステムを構築した。
|