研究概要 |
2007〜2008年の国際極年において,各国の大学院生を対象とする,北極圏の地球環境科学を主題する国際野外学校の実践を企画した.永久凍土や氷河の専門家の国際的な教授陣でチームを組み,スバルバール諸島(ノルウェー北部)とグリーンランド東部の北緯80°付近の条件の異なる2地域をフィールドとして,(1)調査・観測法の取得,(2)2年間で得られた調査・観測データの解析,(3)国際学会や国際誌上での公表,という3段階の教育を行うものである.そして,2地域での調査・研究データの比較により,北極圏の陸域で起こる氷河・永久凍土変動の地域的な差異を解明することを目的とした. 初年度は,スバルバール大学,マウント・ホリオケ大学(USA),筑波大学の合同で,スバルバールにおいて予備的な野外学校を実践した.2007年7月中・下旬に,2008年度の正式な野外学校の実施に先立って,2週間の予備調査と実験・観測地の設置と指導を行なった.教員5名,ティーチング・アシスタント4名,大学院生5名が参加した.スバルバール大学での野外活動基本実習の後,沿岸部(カップ・リンネ)と内陸部(アドベントダーレン)の2地点で,氷河・周氷河地形地形の観察と記載,各地形の地下構造の探査と計測,地形プロセスの観測機材の設置,土壌・凍土・氷・水試料の採取とデータ取得を行った.終了後,スバルバール大学で取得したデータの解析と,調査結果の報告会を実施した.調査結果の一部は,2008年6〜7月にフェアバンクス(USA)で開催される第9回国際永久凍土学会で,2件の論文(受理済)として発表する.
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