研究概要 |
本研究は,新しい溶融加工教材としての金属粘土とその強度評価を組合わせた理工融合教育素材を創成しようとするもので,初年度に金属粘土の基礎研究を行い,その評価と強度測定方法の確立を次年度以降に行うことを目的としている。金属粘土の調製は純銅粉末および銅とスズの混合粉末に界面活性剤および分散剤として,ヘプタンとステアリン酸,イソプロピルアルコールとポリカルボン酸アンモニウム塩などの組み合わせで行っている。その結果,粘土の基本性質としての可塑性と保形性を多少とも併せ持つ特性を得ている。本年度は,金属粘土の調製と焼結実験を引続き行うと共に,安価な歪みゲージを使った強度試験機(簡易式材料試験機)の設計・製作を行っている。材料の弾性域で歪み量と荷重が比例関係になる性質を利用して歪み量を測定して荷重を算出する手法により,本年度は材料の形状および取付方法を検討して,再現性や安定性に優れる4点支持鋼板による強度測定構造を採用,教材としての基礎実験を行っている。耐荷重10k Nのフレームを組み,中央にこの歪みゲージ式荷重測定器を設置,その上部を試験片テーブルとする。フレームに取り付けたボルトを回転移動することで試験片を圧縮,破壊時の荷重を検出して強度を測定する構造である。歪みゲージの出力電圧測定法を検討中で,現在はデジタルテスターで行っている。このシステムが完成すれば,材料費を中学校教材として使えるレベルの数万円以内にすることが可能となる。なお,現状のシステムで試験片20個を使って高精度材料試験機の値と比較したところ,平均値は同等で十分な精度を有する。ただし感度が低い(デジタルテスターの今解能による)ので,この改善を次年度に検討する予定である。
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