研究概要 |
理科離れが問題となり,子ども時代の自然体験も希薄になっている。高校時代の理科科目履修状況と自然科学の基礎知識の理解度を知ることは,文科系大学で自然科学教育を行う前提である。入学時に提出された高校時代の理科履修記録と武蔵大学での履修記録とがともに存在する学生,3728人についての二つの情報を接続した。理科履修状況入力は手作業で行わざるを得ず時間がかなり掛かった。個人情報保護のガイドラインのため,当初予定していた入力作業補助員を依頼することはできなかった。 文科系大学の全学生の高校時代の履修状況を調べた研究例は,ほとんどなく,大学での自然科学科目履修と科目の特性との関係を来年度は分析する。履修状況の初期分析からも,物理科目,地学科目の履修は非常に少数であった。在学生に講義時間を利用して,自然科学の基礎知識と科学への態度に関するアンケートも実施した。また,赤城山での調査活動のガイダンスVIDEOを編集し,DVDを作成した。 赤城山での環境プログラムの開発を進めた。足尾銅山での産業公害と自然回復活動をサブメニューとして加える可能性を検討するため,現地踏査を行った。また,赤城山山麓に流れ山(山体崩壊で崩落した古火山の残骸)がありこれらも調査対象とできるか現地調査を行った。 本年度は,班員で4回の研究集会を行い,結果の共有と今後の研究指針と分析視点について意見を交換した。また,このプログラムに直接関係する,同じく野外研究である「自然科学集中野外講座」や「国東半島の農業の歴史と現在を訪ねて」と本研究で対象としている赤城山でのプログラムを対比させて,より教育効果の高い方法を検討した。
|