研究課題
本研究では、容易に入手できる一般的な材料を用いて、中学校、高等学校そして一般を対象に、放射線体験学習や放射線安全教育に安心して使用できる放射線源(自然放射能線源)の開発を目指す。平成19年度に線源の製作法をほぼ完成させ、塩化カリウム試薬、湯の華、肥料、海草の4種が、安全で有望な線源材料であることを示した。平成20年度は、これらの材料について詳細な研究を進め、例えば肥料では市販品の選択によって線源強度が2倍以上違うことが分かった。また乾燥昆布の研究では産地や部位(茎、根など)による放射能の違いを調べた。これらの研究で得られた成果を、国内学会や国際会議などで報告すると共に、多く放射線教育の研究者と議論した。その結果、大学、研究機関から問い合わせを受け、いくつかの機関からは実際の放射線教育に使用したいとの申し出があった。現在、そうした機関に自然放射能線源を送って、大学や消防署での放射線安全教育のほか、婦人会などの一般を対象にした体験学習などで使用してもらっている。また、報告者の所属する核融合科学研究所においてもSSHおよびSPPでの体験学習や、チュートリアルなどの教育において自然放射能線源の利用を開始した。この自然放射能線源は日常用品や食物を材料にして製作しているため、放射性同位元素に関する法律の規制を一切受けずに、しかも安全に気楽に使用できるという特徴があるため、今後の普及活動に従って利用の申し出が増えるものと考えている。平成20年度はこのほか、教育用具としての形状線源や、圧縮成型装置の軽量化を検討し、試作した。形状線源では、塩化カリウム試薬で表面汚染測定実習を念頭において円形汚染模擬線源を製作し、また圧縮機については持ち運びの可能な装置を試作して、平成21年度への研究につながるベースを作った。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)
RADIOISOTOPES 57
ページ: 703-708
J. Nuclear Science and Technology, Supplement 5
ページ: 752-755