本研究は、実践者(教師や保育者)と研究者が共に日常の教育実践や保育活動記録を気軽に共有でき、実践を協働でデザインすることを支援するインターフェイスを構築することを目的としている。インターフェイス・デザインの分野ではデザイナがユーザとともにモノとのかかわりを含めた活動文脈を有し、経験する「参加共有型デザイン(participatory design)」が行われ始めている。この手法を保育・教育実践に応用することで、実践者とともに保育(教育)実践および記録をその日のうちに共有し、新たな実践を共に日常的に創造することを支援するインターフェイスの開発を目指した。本年度は研究計画3年間の初年度であり、ツール開発ステージI<ツール試作>として、(1)保育現場における仕様要求項目抽出を、刑部(保育)・植村(デザイン)を中心に、(2)画面デザイン・インターフェイス設計については植村(デザイン)、(3)実装は戸田(画像・ソフトウエア工学)を中心に行った。(1)・(2)・(3)については、当初、時期的な段階を踏んで進むことが予想されたが、設計の上流工程で参加型デザイン手法を取り入れるには、むしろ同時並行的に研究領域の異なる三者が繰り返し議論し確認しあい試作を進めていくことが、参加型デザインを取り入れたツール開発の方法論として重要であることが明らかになった。観察ツール簡易試作版のコンセプトとその成果については、ED-MEDIA2008での発表が決まっている。
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