インターネット上で時間的空間的に自由に行われる「非同期型テストシステム」(e.test)において、公平性確保のための「個人認証・監視」システムの基礎理論モデルを開発し、実際にシステムに搭載することが本研究の目的である。それは、単に代理ログインを不可能にする、いわゆる本人認証だけではなく、教室一斉テストと同様、受験者間の公平性が確保できる認証・監視機能を持つシステムである。テストでの個人認証は開始時と終了時にのみ認証を行うようなシステムでは不十分であり、テスト受験中常時本人確認ができなければならない。そのため、テスト受験中に常時得られるデータを利用して、常時本人確認ができるシステムを目指している。平成19年度は本研究の開始年度であり、e-test受験中に得られるどのようなデータが個人認証に利用できるかを検討することを中心として研究を進めた。具体的には、タブレットを用いて (1)学習者(受験者)の文字筆記に関するデータ(筆圧、ペンの傾き等)を収集、分析 (2)マークシートを用いたテストを行い、そのときの筆記に関するデータを収集、分析 (3)筆記された文字またはマークの特徴量の収集、分析 (4)(1)(2)(3)のデータで個人認証を行う場合の手法の検討を行った。 (1)(2)(3)のデータは、それぞれに本人確認が可能であった。より精度を高めるためには、いくつかのデータの組み合わせとその特徴量の算出が必要であると考えられたことから、平成20年度には、どのようなデータを組み合わせるのが最も適当かを実験及びシミュレーションを通して決定し、実際に時系列でデータを収集して、テスト受験中、常時本人確認を行うためにはどのようにすればよいかを検討する予定である。
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