研究概要 |
PCのユーザビリティの向上を目的とした必要機能の抽出に関する調査研究では,150名を対象とした機能に関する調査紙において,6段階の尺度を用いた評価を行った.その結果,マルチメディア関連の機能や,インターネット上でのリアルタイムなコミュニケーション機能に関する使用頻度が低かったが,逆に高かったのは情報検索とメールなどの個人間コミュニケーション並びに文書作成であった.並行しておこなったワープロ機能については,事前に用意されたテンプレートや,日付,段落などの自動的な文字入力機能については,必要性評価が低く,文書作成の基本機能と整形機能は評価が高かった.この結果は,最低限必要とされる機能を抽出したことで,PC学習における必要十分なカリキュラムを構築する意義があり,継続するインターフェイス開発研究で用いる機能の指標となった. ユーザ特性の関連性としては,高齢者の自己に対するPC操作の利用能力評価が低いことがわかったが,特徴としては視覚情報の見づらさが顕著になることが示された.特に文字によって提示される,現在の状態に関するメッセージには,専門用語やカタカナの用語が多用されているため,その意味が解らないことがわかった.これを踏まえたモニタリング調査では,抽出機能のみ提示される場合と,デフォルト表示との間での操作性の差について検討したが,画面上の提示に加え,学習過程において機能を特定して指示することにより,必要機能を選択的に抽出する技術が蓄積されることが示唆されているため,ユーザ自身の概念構築に対する支援の必要性が高いことがわかった.
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