研究概要 |
平成19年度から20年度にかけて実施された入力に関するインターフェイスとして用いる新規デバイスに関する研究の結果、入力方法の簡素化が必要であることがわかったため、インターネット接続用の機器として安価に入手できる携帯型ゲーム機に用いられるインターフェイスによるWEBブラウザ利用を試みた。操作すべき対象の数は減るため、学習に要するユーザの労力は低減する。しかしながら小型のブラウザ機器は画面の大きさが小さく、利用に困難が生じるため、表示機能との間でトレードオフが生じることが明らかとなったことから、表示を拡大する必要があることが明らかとなった。 また、入力側インターフェイスの構造に対して、平成21年度は、出力インターフェイスを課題とした寛容性の研究を行った。すなわち、前年度までの調査によって、高齢者に対する操作性向上を目的とした機能制限は,インターフェイスレベルにおいて必要であることがわかったため、特にコンピュータによる表示情報についての寛容性を実現するために、専門的に用いられる用語を普通の態様で使用される言葉への置き換えについて検討した。初心者向けに用意された教本から抽出した用語の多くは専門用語を用いているが、これを普通に用いられる言葉に置き換えることで、ユーザの理解を促すことが可能になることがわかった。つまり実装されるインターフェイスとして、ユーザ自身が持つボキャブラリへの変換が行われることが、表示デバイスに求められることがわかった。以上のことから、PCの用途を限定している多くの高齢者ユーザに対してPCの利用促進にあたっては、複雑な学習を要するPCではなく、高齢者のユーザ特性を考慮し、機能が限定された安価な端末を用いる方法が、寛容なPC学習方法として有効であるといえる。
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