情報教育のプログラミング学習に、没入型仮想現実感技術およびマルチモーダル技術を導入することによって、これまでの情報教育では利用されていない身体性を活用した新しいインタフェースを考案・開発し、そのインタフェースを利用して、抽象的な情報を扱う学習に関する興味を高め、理解を深めることをめざし、没入型仮想環境におけるプログラミング学習のための手の活用に着目し、研究を行った。一般の学習者は没入型仮想環境における仮想物体の操作に習熟しておらず、思い通りに仮想物体を操作できないと本来の目的であるプログラミング学習を行うことが困難になる。そこで、日常と同様に手による物体の把持によって、プログラム要素を表現する仮想物体を正確に操作するための新しい技法の開発およびその評価実験を行い、その技法の有効性を検証した。また、没入型仮想環境に適した没入型プログラミング言語システムの検討を進めた。 情報教育においては、データ構造やアルゴリズムを理解し、抽象的な思考によって問題解決する能力を養うことが重要である。抽象的な考えをコンピュータに実行させるためにはプログラミングが必要だが、従来のテキスト表現やキーボードとマウスによるインタフェースでは、プログラミングに興味を持てない学生も少なくない。このため、情報教育を効果的に行うために学生のモチベーションを高め、ひいては学習効果を向上させる仕組みとして身体性を活用した新しいインタフェースを研究した。
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