研究課題/領域番号 |
19651003
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
高田 秀重 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (70187970)
|
研究分担者 |
綿貫 豊 北海道大学, 大学院・水産学研究院, 准教授 (40192819)
|
キーワード | モニタリング / 海鳥 / 渡り鳥 / POPs / ポリ塩化ビフェニル / 環境汚染 / 代謝 / 有機塩素系農薬 |
研究概要 |
渡り鳥・海鳥14種(コアホウドリ、オオミズナギドリ、ハシボソミズナギドリ、ハイイロミズナギドリ、マダラシロハラミズナギドリ、ミナミオナガミズナギドリ、コウミスズメ、ウミスズメ、ウトウ、ツノメドリ、エトピリカ、ハシブトウミガラス、フルマカモメ、アドリーペンギン)について各種1〜5個体ずつ、合計34試料について、尾腺から体外に分泌されたワックス中と体内脂肪のポリ塩化ビフェニル(PCBs)と有機塩素系農薬DDTの代謝産物DDEの分析を行った。分析した全ての個体の尾線ワックスからPCBsが検出された。尾線ワックス中のPCBs濃度は43ng/g-lipid〜10300ng/g-lipidと3桁変動した。尾線ワックス中のPCBsは体内脂肪中のPCBsに比べて低塩素数の同族異性体の割合が高く、代謝の程度の低いPCBsが尾線ワックスとして分泌されていることが示唆された。そこで同族異性体組成を統計的に処理して代謝の効果を減らして、尾線ワックス中のPCBs濃度と体内脂肪中のPCBs濃度の相関を検討したところ、両者に高い相関が認められた。このことは、尾線ワックスが非殺傷型のモニタリング手段として有効であることを示している。尾線ワックス中のPCBs濃度は南極の鳥類(渡りを行わない)で低濃度で、北半球で日本付近に生息域を持つ鳥で高濃度であった。このことはPCBsの汚染源が北半球の先進工業化国に存在し、そこで摂餌を行う鳥でPCBs濃度が高くなることを示している。来年度はさらに鳥の種類を拡大し、調査個体数を増やし、より広い範囲をカバーできるようにしていく予定である。
|