1、昨年度に行ったヤマトシジミの貧酸素・硫化水素耐性実験で得られた貝殻試料にみられる成長線の電子顕微鏡観察 高濃度の硫化水素に72時間以上さらされた個体の貝殻には明瞭な成長線が形成されていたが、当該の部分には厚い有機物層が形成されており、殻体の溶解が著しかったことがわかった。 2、ヤマトシジミの潜砂実験と体腔液の有機酸測定 ヤマトシジミが冬季に砂に深く潜砂した場合に、体内が変化しているかどうかを確認するため、深く潜砂した個体と潜砂しなかった個体について、体腔液を採取し、pHと有機酸濃度を分析した。pHには明瞭な相違は見られなかったが、深く潜砂した個体で、ややコハク酸濃度が高く、閉殻によるストレスがあったことが判定出来た。 3、サルボウガイの垂下飼育実験 昨年度備品として作成し、中海本庄水域に設置した試験筏および中海湖心・北部貯木場の3点において、水質計で水質をモニタリングしながらサルボウガイを飼育した。底層では夏期に貧酸素化するため、底層に垂下した個体について、本庄水域では全滅したが、中海湖心・貯木場では成長が鈍化する傾向がみられた。塩分躍層でも、わずかながら成長が鈍化した。 これらの実験により、貧酸素・塩分変化のストレス程度の異なる状態で成長した貝殻試料を得ることができた。(次年度、殻体構造の分析予定)
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