研究概要 |
実験1枝葉同士の接触刺激がテルペン類の放出に及ぼす影響を調べる実験装置の試作 人工的に起こした振動による枝葉同士の接触刺激の影響を調査可能な実験装置を製作した.本研究では,人工的に枝葉を振動させるために,ステッピングモーター駆動の電動シリンダを用いて植物を鉢ごと左右にスライドし,枝葉にかかる慣性力の方向を切り替えることで,接触を誘起する実験装置を試作した.スライド長さは500mmまで設定可能で,鉢の移動速度を最大500mm/sまで高めることで,接触強度を調節可能とした.実際に,8号鉢に植えたマツとコナラをシリンダ台に固定してスライドさせた結果,高い慣性モーメントに耐えるよう鉢の固定方法を改良することで,10分の連続運転でも鉢および土壌に異常はなかった.また,比較的大きな樹木苗用に,幹をつかむアームを電動シリンダで駆動し左右方向へ幹を揺らす装置を製作した. 接触刺激以外に境界層抵抗におよぼす風の影響を調べるため,風速2m/s程度まで実現できるテフロン製空気攪拌ファンを設置した.開放式同化箱法に基づく計測システムを製作しガスクログラフ質量分析計にて,植物のないブランク状態で発生する揮発性炭化水素(VOC)を測定した結果,目的とするイソプレンとモノテルペン類は検出されなかった.他のVOCは一部観測されたが,検出限界付近の濃度域であり,実験上問題とならないと判断した. 実験2光質がテルペン類の放出におよぼす影響を調べる実験装置の試作 光質のみを変化させ他の環境条件を一定に保つために,市販の携帯用光合成測定装置を用いる.人工光源には発光ダイオード(LED)パネルを購入した.青色,赤色遠赤色,白色のLEDを光を最大500μmo1m^<-2>s^<-1>まで出力可能である.
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