研究概要 |
実験1枝葉同士の接触刺激がテルペン類の放出に及ぼす影響 昨年製作した実験装置を用いて,振動強度とテルペン類の一時的な放出量の関係を検討した.モノテルペン蓄積・放出植物(ヒノキ,スギ,クスノキ,レモンバーム)とイソプレン放出植物(コナラ)を用いた.葉の表面にモノテルペンの貯蔵器官をもつヒノキやレモンバームでは,振動後直ちに放出速度は高まった。葉の内部に貯蔵器官を持つクスノキでは,上昇はわずかであった,振動終了後数分で放出速度は低下し始め,元のレベルに戻るまで30分〜1時間を要した.スギのモノテルペン放出は振動の影響を受けたが,セスキテルペンは影響を受けなかった.コナラからのイソプレン放出速度は振動で変化せず,貯蔵器官を持たず生産後直ちに放出されるタイプでは振動の影響はないと考えられた. 実験2光質がテルペン類の放出におよぼす影響 イソプレン放出植物であるコナラを用い,光質の影響を調べた.赤色光,青色光,白色光の照射では,イソプレンの光飽和点に近い500μmol m^<-2>s^<-1>の光強度(PPF)に設定した.また,遠赤色光を付加した場合のイソプレン放出も測定した.いずれの場合もコナラからのイソプレン放出は変化がなく,光質がイソプレン放出におよぼす影響は認められなかった.次年度は,振動の影響をより詳細に調べ,自然条件下での風が植物のテルペン類放出に及ぼす影響を定量化する方法について検討する.
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