研究概要 |
サンプリング地点は砂干潟である船橋海浜公園,及び泥干潟である猫実川河口域の2地点とした。深度については表層10cmまで採取し,測定前に混合することでその地点における代表値とした。夏期(8月)・秋期(11月)・冬期(2月)に試料を採取し,アセチレン阻害法による脱窒ポテンシャルを測定した。その結果,猫実川河口域ではそれぞれ12.9,4.5,3.5(μg N_2/乾土1g)であったのに対し,船橋海浜公園では3.6,1.5,1.8(μg N_2/乾土1g)となり,いずれの採取時期においても猫実川河口域の方が脱窒ポテンシャルは高く,その差は夏期では3.6倍に達することがわかった。次に,PCR-DGGE法による脱窒遺伝子の多様性解析を行った。2種類の脱窒遺伝子のうち,nirSでは明瞭なDGGEプロファイルを得ることに成功した。一方,プライマー-nC度,アニーリング温度,T・uchdownPCRの条件検討により,加老κ遺伝子の特異的検出は可能であったが,種々の電気泳動条件でもプロファイルの分離が悪く,多様性解析への利用は困難と判断された。そこで,夏期・秋期の試料を対象にnirSを用いたPCR-DGGE解析を行った。その結果,上記2地点における脱窒細菌相に季節変動は認められなかった。さらに,Shannon'sindexによる多様性指数を算出したところ,脱窒ポテンシャルで顕著な差が認められた夏期試料においても,猫実川河口域で2.27,船橋海浜公園で2.39と大きな差}ま認められなかった。以上の結果より,PCR-DGGEによる脱窒遺伝子の多様性解析では脱窒ポテンシャルの差を反映できないことが明らかになった。現在,脱窒遺伝子の定量のためReal-timePCRの条件検討を行っている。
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