研究課題/領域番号 |
19651011
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
篠山 浩文 明星大学, 造形芸術学部, 教授 (40211958)
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研究分担者 |
天知 誠吾 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 准教授 (80323393)
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キーワード | 干潟 / 脱窒 / 微生物 / PCR-DGGE / クローン解析 / 三番瀬 / モニタリング / 東京湾 |
研究概要 |
昨年度までに、三番瀬内の2地点(船橋海浜公園、猫実川河口域)では年間を通じて脱窒ポテンシャルに差があること、また両地点において脱窒遺伝子(nirS)の多様性に季節変動がほとんどないことを明らかにした。そこで本年度は、両地点における脱窒遺伝子の存在量および発現量を定量することを目的とした。まず予備実験として底泥中のnirSのライブラリーを作成し、クローニングと系統解析を行った。PCRプライマーとしてはBlakerら(1998)が報告しているnirS1FとnirS6Rを用いた。両地点それぞれについてライブラリーを作成し、合計46クローンを解析した。系統解析の結果、両地点にはそれぞれ特異的なクラスターが複数存在することが明らかになった。具体的には、船橋海浜公園には14のクラスターが、猫実川河口域には10のクラスターが存在した。また、ほとんど全てのクローンはこれまでに純粋分離された脱窒細菌のnirSとは系統的に大きな隔たりがあった。上記実験と平行して、培養法により両地点から複数の脱窒細菌を分離したところ、いずれの細菌もPseudomonas stutzerriに近縁(99〜100%の相同性)で、そのnirSは今回得られたどのクローンとも系統的に隔たっていた。このことから三番瀬の脱窒プロセスにおいて主に機能しているのは、未培養・難培養性の脱窒細菌であることが強く示唆され、分子遺伝学的アプローチの重要性が確認された。両地点には極めて多様なnirSが分布し、これら全ての定量が可能なReal-time PCRプライマーの設計は困難であった。そこで、両地点で優勢に発現しているクローンを同定することを目的に、底泥よりRNAを抽出しRT-PCRを行った。しかしながら、いずれの試料においてもnirSの発現を示す明確なシグナルを得ることはできなかった。
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