研究概要 |
佐鳴湖の水質浄化のための環境事業であるヨシ刈りについて,活動関係者からの聞き取り,実際の行事に参加しての観察,行事参加者へのアンケート調査を行うととともに,広範囲の潜在的参加者に対してWeb調査を行った。その結果から次のようなことがわかった。 まずWeb調査からは,潜在的ボランティア層と実際の参加者には,一致する部分とそうでない部分があり,さらにボランティア参加者を誘導できる可能性が明らかとなった。ひとつの鍵として,ヨシ刈りに関心のある人の多くが,特定の趣味を持つ傾向が示された。次に行事参加者へのアンケートや聞き取りからは,以下のような結果が得られた。参加者のほとんどが次回ヨシ刈り,他の活動ともに積極的な態度を示している。また所属する会社や団体,知人などから誘われた参加者が多く,身近で直接的なネットワークによる広報が効果的である可能性がある。 以上の知見を受けて,ボランティア獲得のためのふたつの仕掛けを試行した。ひとつはチラシの選択的配布である。Web調査から,潜在的参加者が,水上スポーツや山歩き,博物館・美術館めぐりなどの趣味を持つことが示されたので,このような趣味を持つ人が訪れると考えられる,アウトドアショップ,美術館・博物館等にヨシ刈り参加者募集のチラシの置き,広報を試みた。その結果,これらの場所が広報を行うには有効であると確認できた。もうひとつは情報システムの構築である。ヨシ刈り参加者アンケートの結果をもとに,佐鳴湖に関心を持つ人のためのポータルサイトを構築し,そこにボランティア募集情報を掲載することとした。このシステム「佐鳴湖グループ」は,佐鳴湖で活動する非常に多くの団体が所属する佐鳴湖NW会議を主な利用対象としている。NW会議の活動を紹介する機能と合わせて,実施しているボランティア活動をまとめて表示する機能を設けたことで,多くのボランティアを獲得できると考えられる。
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