研究課題
萌芽研究
本研究は、地域社会の中に、大学を中核とし、市民組織、社会教育施設、学校など、多様な主体間のネットワーキングと協働を通じて、公的教育と非公的教育を包括した「持続可能な開発のための教育」(ESD:Education for Sustainable Development)のシステム・モデルを構築し、そのプロセスを実践的に研究することを目的としている。その方法としては、研究者自身がネットワーキングやコーディネーションを含むシステム構築を実践、あるいはそうした取り組みに参画しつつ、その過程を記録、検討、状況に応じてシステム構築にフィードバックするという形で進められ、研究とシステム・モデル構築が同時進行してゆく。研究フィールドとしては、兵庫県および政令指定都市である神戸地域を設定している。初年度にあたる平成19年度は、本研究プロジェクトのメンバーが参画しつつ、(a)国際連合大学が進める「持続可能な開発のための教育に関する地域の拠点」(RCE:Regional Centre of Expertise on ESD)の兵庫-神戸地域への設定、(b)それにつづくネットワーク形成、(c)ESDに関する大学教育プログラムの開発と実施準備、(d)「持続可能な開発」およびESDの推進に重要な専門家と非専門家の対話の場としてのサイエンスカフェの兵庫県下広域への展開、(e)これを契機とした新たなESDモデル地域の設定などが進行した。「持続可能な社会」と、その実現に向けた教育、および地域社会からのアプローチの重要性が認識されているが、本研究の成果は、こうした取り組みの社会的ひろがりにおいて、国内外の地域や組織から参照されうるモデルとしての意義を有する。