研究課題/領域番号 |
19651030
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中野 義夫 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (30092563)
|
研究分担者 |
渡辺 隆行 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 准教授 (40191770)
清田 佳美 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 准教授 (60216504)
|
キーワード | タンニン / 3価鉄イオン / リン回収 / 肥料 / 自然環境水 / タンニン / 無機複合体吸着剤 |
研究概要 |
大量の環境水中に存在している微量のリンを環境中で、直接、分離・回収して肥料化することでリンの環境負荷を低減すること、肥料化したリンを適切な時期に施肥すること、でリンの有効利用を図ることを目的としている。 本年度(初年度)はリン回収・肥料化のためのタンニン/無機複合体の開発を試みた結果、下記に示す様々な成果を上げると共に高容量リン吸着剤の開発に成功した。 1、天然由来の安価なワットルタンニン分子に架橋を施すことで、3次元網目構造を有するタンニンゲルを合成し、ついで、硝酸処理(2M、333K、2h)を行うことでタンニン分子鎖のいち部を酸化、さらに、硝酸鉄水溶液中で処理(1M、298K、120h)を行うことで、鉄をタンニン分子鎖中に導入することができた。 2、タンニンゲルに導入された鉄はタンニンゲル粒子表面に分布していること、メスバウアー 分光分析により導入された鉄は非晶質で3価の状態で存在していることが明らかとなった。 3、リンの吸着挙動に及ぼす水素イオン濃度(pH)の影響について検討した結果、pH3以下の酸性域ではリンの吸着量は低下するものの、pH3以上の酸性、中性、アルカリ域ではpHに関係なくほぼ一定値を取ることが明らかとなった。通常、自然環境水のpHは3〜7の領域にあることから、本研究で創製したタンニンゲル/鉄複合体は環境水中からのリンの分離・回収にとって、極めて有効である。 4、開発したタンニン/鉄複合体のリン吸着量は吸着剤単位面積当り40〜60mg-P/m^2と極めて高い値を示し、これまでの鉄系酸化物のリン吸着量0.086mg-P/m^2に比べて500倍以上の容量を有することが判明した。
|