新たなバイオモニタリング技術として、国内の河川・湖沼などの野外調査によく用いられるコイのAcetylcholinesteraseをマーカー酵素として、その「免疫学的比活性」を用いて、有機リン系殺虫剤による曝露の有無を高感度・高精度で検出する技術の開発を行うことが本研究の目的である。 平成19年度は、以下の研究実績をあげた。 1.コイAcetylcholinesterase遺伝子のクローニング すでに報告されている他生物種由来のAcetylcholinesteraseアミノ酸配列を比較し、保存性の高いアミノ酸配列部分をもとにプライマーを設計し、コイの筋組織から調製したcDNAを鋳型にして、設計したプライマーを用いてPCRを行い、Acetylcholinesterase遺伝子の内部断片を単離下。更に、Rapid amplification of cDNA ends法により、本酵素遺伝子の5'および3'末端領域を増幅・単離し、本酵素の全長遺伝子を単離した。 2.コイAcetylcholinesterase遺伝子の酵母細胞での大量分泌発現 コイAcetylcholinesterase"遺伝子組換え触媒サブユニット"をより効率よく酵母Pichia pastorisの細胞外に分泌させるため、発現ベクター、分泌シグナル配列、酵母Pichia pastorisの培養条件などについて比較検討下。更に、決定された最適発現条件を用いて、酵母Pichia pastorisを大量に培養し、コイAcetylcholinesterase"遺伝子組換え触媒サブユニット"の大量分泌生産を試みた。
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