研究概要 |
本申請研究では環境修復そのものの手法ではなく環境修復後の標的環境の正常化を目指している。その手法として環境修復に利用した生物を環境修復後に系から除去するための手法として,分子レベルで制御が可能な細胞死スイッチを構築し,それを道具として使用する微生物に導入することで環境修復と環境修復後の正常状態への復帰を目指す。本年度の研究では,細胞死スイッチのためのモデル系構築を目標とし,具体的には全生物において普遍的に存在し,かつ,必須の酵素であるリボヌクレアーゼPという酵素を細胞死のための分子スイッチとしての利用を検討した。 この酵素の部分構造であるP3部位を人工的に変異させた変異体酵素は通常の酵素活性を維持し,かつ,分子スイッチとしてデザインされたtatタンパク質の添加によって酵素活性を失うことは既に確認した。また,酵素活性のより確実な制御のために,酵素内の他の部分構造においても分子スイッチを導入可能な箇所を実験的に検討し,幾つかの候補を得ることができた。今後はこれまでに得られた知見を利用して,分子スイッチをより確実なものとし,細胞死スイッチとして機能させるための検討を行う。
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