研究課題
燃料電池の普及促進のために、燃料としてメタノールを用いるダイレクトメタノール形燃料電池以外にも、低純度の水素を用いる燃料電池の開発を行い、持続社会形成に資する、新しい環境低負荷型電極(主としてアノード)の提案が強く望まれている。こうした背景をふまえて、本課題提案者はこれまでに、Ruに代わる資源豊富な材料として、酸化セリウム(セリア:CeO_2)を用いて、既存のPt-Ru合金電極を超える性能(高いピーク電流密度と低いメタノール酸化開始電位)を持つアノードの開発を行ってきた。昨年は、これまでの合成法で、白金担持量を5wt%まで低下させた試料(これまでは、白金量30wt%で検討していた)を作製したところ、白金担持量を5wt%まで低下させても、市販の白金30wt%含有したPt-Ru合金電極よりも高い性能を確認した。研究2年目にあたる平成20年度は、この成果をもとに、PtとCeO_2間ヘテロ界面構造の特徴を、白金担持量を変化させた5種類の試料をもとに、Spring8の高エネルギーXPSを用いて精査したところ、本研究の電極界面には、Pt^<+1>価の割合が極めて大きくなっていることが分かった。また、電気化学的測定結果からは、一酸化炭素被毒耐性は、白金担持量が少ない試料ほど改善させる傾向にあること、電極表面の電極反応律速過程は、大きく異なり、PtRu触媒では、反応律速であるのに対し、Pt/CeO_2触媒では、拡散律速であることも分かった。以上の2年間の研究結果を総合した結果、本研究で扱っているPt/CeO_2複合電極触媒においては、PtとCeO_2間のナノヘテロ界面におけるPt^+-酸素-Ceからなる活性サイトが、一酸化炭素耐性効果を強くもっており、このナノヘテロ界面構造を増やしていくことで、アノード電極の高性能化が可能になることが明らかになった。
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