研究概要 |
本研究では,我々が開発した技術,電気化学エピタキシャル重合を用い,初めに単一分子レベルで制御した二次元表面結晶,及びその積層構造を電気化学エピタキシャル重合により構築し,ヨウ素で表面修飾した金単結晶基板に導電性高分子(ポリチオフェン)の大面積、完全結晶を作成する。次に作成した二次元表面結晶や高配向結晶を載せた金単結晶基板を裏面から電子線描画法と電気化学エッチング法により30nmの微細領域を原子レベルで削ることにより,導電性高分子末端を接続する新しい方法論を開発することを目的とした。本年度は,導電性高分子の表面二次元結晶とその積層構造を形成することを目的とした。電気化学エピタキシャル重合法を用いて,ヨウ素で表面修飾した原子平坦な金属電極上にチオフェンモノマーを重合させ,一軸配向した単一層の二次元結晶を形成させた。更に形成させた表面二次元結晶を表面鋳型として用い,電圧パルスを追加し,1層ごとに積層構造を構築した。作成した積層構造の表面構造を走査トンネル所微鏡(3,4層レベルまで),原子間力顕微鏡(それ以上の層数)を用いて観測したところ,1層目の二次元結晶の配向を反映した結晶構造(1軸配向)を取っていることが明らかになった。更にこの現象を確認するため,1層目を3軸配向させた試料を用いて,積層構造を形成させたところ,予想どおり3軸方向に積層された構造が得られることが判明した。しかしながら1軸配向試料と比較すると3軸配向の積層構造はかなりランダムな構造を取ることが分かった。以上から,電気化学エピタキシャル重合を用いて,分子レベルで1軸配向した積層構造(準安定構造)を1層毎に積層できることを明らかにした。
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