ハニカムフィルム上で種々の細胞を培養したところ、細胞の接着形態、増殖性、分化性などが平膜と異なること、さらにそれらの効果が細孔径に大きく依存することを見いだしており、とりわけ58種のヒト癌細胞をハニカムフィルム上で培養したところ、多くの癌細胞において増殖が抑制されることを明らかにしていた。本研究では増殖抑制機構を調べるために、細胞の接着挙動について調べた。 ハニカムフィルム上で80%近い増殖抑制を受けるII型肺胞上皮癌は、培養48時間後にトリプシン処理をしてもコントロール培地である平膜やポリスチレンディッシュからは完全に剥離するのに対し、長時間の酵素処理をしても50%程度の剥離率であった。増殖抑制効果の少ない膵癌や大腸癌にくらべ、増殖抑制を受けるA549や胆嚢癌はトリプシン処理に耐性がありハニカムフィルムに強く接着していることがわかった。
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