研究課題/領域番号 |
19651048
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
島田 敏宏 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (10262148)
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研究分担者 |
米澤 徹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (90284538)
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キーワード | 層状物質 / ナノクラスター / 有機半導体 / フレキシブルエレクトロニクス / 光物性 / 化学合成 |
研究概要 |
有機物は柔らかいため曲げに強い印刷可能な電子素子を作成できる利点はあるが、分子間振動のエネルギーが数十meVと低いことから、室温では振動によるキャリヤ散乱の影響が大きく、無機物に比べて移動度が桁違いに小さくなってしまう。おそらくこの理由により有機半導体の室温移動度は低い。これに対し、無機物のクラスターは粒内では移動度が高いと考えられるが、粒界の散乱が問題になる。特にナノクラスターを溶液中で安定化するためのキャッピング層が通常絶縁物であり問題である。層状物質はもともと層に垂直方向の化学結合が閉じているためこの方向にキャッピング層は必要なく、層が積み重なる形で凝集するために空間充填率も高くなることが期待される。本研究では、層状物質をナノクラスター化することにより新たなフレキシブル電子材料を開発するとともにその物性を探索することが目標である。 層状物質クラスターを溶液から合成することに成功しているが、得られたクラスターは現在のところX線回折が非常に弱く、大部分がアモルファスであることが判明した。これまでの実験から、500℃程度の真空中加熱により結晶化が起こることが明らかとなった。また、原料物質(金属、または有機塩)とカルコゲンの溶液反応によりクラスターを生成する反応をいくつか見出したが、水系を経由するため、不純物として酸素が入ることがXPSから明らかになっている。水を除去する方法を開発する必要がある。
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