今年度は交互回析格子の原理実証を目的的とした。電子線リソグラフィによるナノパターニングとドライエッチングによるナノ加工により、ガラス基板上に幅850nm×深さ220nmのナノチャネルを作製した。また、作製した基板をカバーして液体を封入できるようにした。液体の導入にはシリンジポンプを用いた。さらに、描画パターンは、参照用チャネルと試料用チャネルが交互(櫛形)に配置する形とした。この交互回折格子に波長633nmのHe-Neレーザー光を2倍の対物レンズにより照射して、副次光の強度をフォトダイオードにより測定した。原理実証のために、試料チャネルの屈折率を変化させて、本法が参照チャネルと試料チャネルの示差屈折率計として動作することを確認した。参照用チャネルにはヘキサンを、試料用チャネルにはヘキサンと四塩化炭素の混合溶液(屈折率調整のために混合比を変えて屈折率差を変化させた)を用いた。両方のチャネルにヘキサンを導入した場合には、屈折率差がないために副次光は発生しないはずであり、確かに光強度はほとんどゼロに近かった。また、屈折率を変化させながら2.5次光を計測したところ、屈折率差により2.5次光の強度は増加した。また、それらの実験値は理論カーブとよく一致した。検量線から屈折率の検出限界を求めたところ1×10^<-3>RIUであった。従来の手法が適用できないナノ空間ではじめて屈折率測定を実現した。これらの結果から、本年度の目標である交互回折格子の原理実証を達成した。
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