本研究では、維管束植物の道管壁らせん紋をテンプレートとするフリースタンディングなマイクロコイルの大量生産を実現し、ギガヘルツ・テラヘルツ周波数帯域における電子材料の開発を行うことを目的とする。微小マイクロコイルのサイズは共鳴周波数を決定する重要な構造因子である。中学校などの生物実験で簡単に光学顕微鏡によって容易に確認できる茎や葉中のらせん紋は、数十ミクロンのコイル径をもつ。また、植物の種類やその部位に特有のコイル径・コイルピッチをもつことが知られている。花弁からはさらに一桁小さいコイル径をもつらせん紋が観察されている。そこで、各種維管束植物からの道管壁であるらせん紋の単離方法を確立し、茎、花弁、葉などの部位依存的なサイズの検討、および得られたらせん紋をテンプレートとする表面導電化プロセスの開発を試みる。初年度は、ベニカナモチの葉、ハスの地下茎、スイートピーの花から維管束らせん紋の採取方法の確立と電子顕微鏡観察を行った。さらに、採取した維管束らせん紋の無電解メッキによって、銀、銅、ニッケルの各種導電性マイクロコイルを作製した。
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