研究概要 |
数理計画法と計算機の進歩によって、2000年代に入って様々な大域的最適化問題の厳密な最適解が実用的時間の範囲で求まるようになった。 われわれはこれまで数年の間に、取引コストの下でのポートフォリオ選択問題や、凹型コスト生産在庫管理問題に対する実用的解法提案し、これらの問題を効率的に解く事に成功した。 この解法は、超直方体分割を利用した分枝限定法と0-1整数計画法を組み合わせたものである。今回の研究では、同様のアイディアを凸2次関数の比の最大化問題と凸絶対値和関数の比の最大化問題に適用し, (a)Lo-MacKinlayの最大予測可能性ポートフォリオ問題, (b)その絶対値関数を用いたバリエーション, (c)Rachev レシオ最適化問題に適用して、良好な結果を導く事に成功した。 これら3つの問題は、ポートフォリオ最適化における事後パフォーマンスを改善するためのもので、特に問題(c)は、凸関数の比を0-1混合整数条件の下で最大化する難しい問題である。われわれは(a)と(b)に関しては、大域的最適化法を用いて厳密な最適解を実時間で求めること、そして(c)に対しては、大域的最適化法と0-1整数計画法を組合わせて、精度の良い近似最適解を効率的に求める事に成功し、これらのモデルが実用性をもつことを実証した。
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