複合体酵素MMOHが過酸化水素存在下においでメタン酸化活性を示すことをふまえ、活性サイトである鉄二核錯体を持つαサブユニットを再設計し、分子量が小さく(60kDa程度)、単量体で活性を示すミニチュアMMOHを作り出すことを目的とした。αサブユニット表面構造を改質し、αサブユニット単量体の水溶性を指標とした検討を行った。MMOHの三次元構造情報をもとに疎水性が高く、サブユニット本体から突き出たN末端部位を削除した変異体(39F)を作製した。続いてαサブユニット内に存在するfour helix bundleと呼ばれる部分構造に注目し、その表面に露出した疎水性残基の改変を行った。残基置換による構造変化の抑制に主眼を置き、構造の類似した水溶性タンパク質であるrubrerythrinに対応する残基と置換することで、39Fの分子表面を改質した(39Fm)。これらの変異体はアルカリpH側での水溶性の増加が確認できたものの中性付近では水溶性は低いことがわかった。そこで、疎水性表面だけでなく、表面上の電荷を持つアミノ酸残基にも着目し、C末端を削除した変異体の表面改質を行ったところ、中性での水溶性が増大した。今後、鉄などの金属存在下で行なうことによってリフォールディングの促進と酸化活性評価を検討する。
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