当該年度において、以下のような研究成果を孝た。 ・沖縄において、都市地区及び近郊を含めたウタキの信仰と自然との関係について調査した結果、都市地区及び近郊においてはウタキを公園として統合し、その自然も管理しているというケースが少なからずあることが分かった。これはウタキの信仰と自然の保全の関係を考える上で一つの示唆を与えるものである。 ・沖縄の精神文化の研究の一環として、ユタにおける仏教的要素の混交、したがって、その解きほぐしの必要性があることが分かってきた。この点は沖縄的なスピリチュアリティを考える上で、一つの重要な手がかりになる可能性があるように思われる。 ・奄美における仏教、特に真言宗の受容について、一般的に考えられているよりも、より多くの重要性があることが分かってきた。 ・スピリチュアル・スピリチュアリティの研究から、存在の深いところにおける意味の問題の重要性や、垂直方向と水平方向およびその原点としての自己の存在の深み、という視点が、スピリチュアル・スピリチュアリティを考えるときの座標軸として有用であることが浮かび上がってきた。 ・自然の価値について、環境倫理学的な観点からの議論の重要性は言うまでもないが、宗教的な自然観、さらにはスピリチュアルな自然観からの議論も重要な意味を持つことが浮かび上がってきた。
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