昨年度に引き続き、モノリンガル意味記述コーパスの電子文書化の拡張とその語彙意味論的分析をつづけた。また、7月〜9月にドイツのライプツィヒにあるマックスプランク研究所を訪れる機会を利用して、同研究所の研究員である南コイサン語族の研究者(T.グルデマン教授とC.ナウマン研究員)に、本研究のこれまでの成果を示し、彼らが進めているTaa諸方言ドキュメンテーションの成果との比較をして、コイサン語彙ドキュメンテーションの今後の可能性について討議を行った。とくに、本研究が目指している1言語集中型のアプローチと彼らが目指している全方言包括型アプローチとの対比を議論した。7月にオーストリアのリーツランで行われた国際コイサン言語学シンポジウムに参加したおりに、ハンシー県デカール村でナロ語話者に対する識字プロジェクトを進めているのフィッセル氏と面会し、2009年度に計画しているグイ正書法によるグイ語彙モノリンガル意味記述テキスト教材を利用した集中識字教育実験について意見交換をした。 11月および12月〜1月に、ボツワナ共和国ハンシー県に滞在し、未録音語(3モーラ語のみ)のモノリンガル意味記述の録音を追加した。また、2009年度の識字教育実験のための協力者(後述)を見つけて協力依頼をした。ボツワナの首都ハボローネでは、ボツワナ大学のアフリカ言語学科のハーマン・バティボ教授と面会し、翌年度の識字教育実験について討議し、関連する資料の提供を受けた。 帰国後、録音済み未分析語彙資料の分析と電子文書化をさらに進めた。また、グイ識字教育マテリアル『ナエナエ』の草稿を作成を進めた。
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