本研究プロジェクトの目的は以下の2点である。1)社会科学分野で求められるアカデミック・ジャパニーズ(学術日本語)の内実を明らかにすること(テキストベースの書き言葉と、講義の日本語の話し言葉の両方)。2)上記1)の成果を元に、社会科学分野の学習・研究を日本語で遂行できるが日本語力の有無を測定する社会科学学術日本語能力を測定する試験の開発を行うこと。 平成21年度は、19年度、20年度に引き続き、測定試験の目的・目標基準・試験問題の形式、試験の内容・試験の方法・構成概念等の基本的な事柄について再検討しつつ、引き続き「講義の日本語」の姿の一端を明らかにするため、講義の録画、講義の日本語の特徴の分析を進め、その研究成果を『言語学理論与商務漢語教学研究』(学林出版社、上海、2009)に発表した。また、具体的な試験問題の試案の改訂作業を行い(初級、中級、上級の3レベルを作成)、さらに、外国人日本語学習者への受験試行を行った(漢字圏、非漢字圏の学習者双方)。また、受験者には受験後に直接インタビューし、困難点、改善点などにつき、聞き取り調査を行なった。同時に、外国人日本語教員にも受験してもらい、同様のインタビュー調査を実施した。漢字語彙、カタカナ語、社会科学日本語文法、問題形式、読解文の専門性等々について得られた成果をもとに、試験試案の改訂を行い、最終版を作成した。最終版はweb上(一橋大学附属図書館HERMES-IR機関リポジトリ)に公開を予定し、現在鋭意作業中である。
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