研究概要 |
今年度は初年度ということでもあり,この研究の理論的基盤をしっかりさせるため,先行研究や文献研究を前半で行い,それをもとに論文をまとめ,それらは出版された。 一方,その理論に支えられた実践研究をするべく,教材などを用意し,本研究者の属する大学の附属中学校の選択英語において,後期から授業実践を行った。生徒数は29名であり,データ等を取るには適切であった。中学生に論理性を意識した英作文指導というのは画期的な試みであり,あまり前例がない。半年間の実証授業の後,実験授業に関った中学生に英語と日本語による作文を書いてもらった。それと同時に意識調査も行った。それら作文を分析すると,英語の作文もかなりパラグラフ・ライティングの要諦に則り論理的に書かれており,また,目本語のものも,論理性・説得力が感じられる作文となっていた。実践授業では英語ライティングにおける論理的書き方を指導したのであるが,そのストラタジーは日本語にも転移が見られたた。つまり,本研究者が目指すマルチコンピテンスの芽生えを見出すことができた。 また,中学生の意識調査でも,この授業内容を高く評価し,『この授業で身につけた「論理的に考える」「論理的に書く」ということはこれからも必要なことであり,それを学べたことはうれしかった』,『説得力を持つということはどういうことなのかわかりました』,『今までなかなか作文する中身が考え付かなかったけれど,どうやれば考えを深めることができるかわかりました』というような反応があり,生徒達にとっても十分ためになる実践であったことがわかった。 また,この実践に興味を持った千葉県総合教育研究所が,この研究を公立中学校に広げて実践してほしいということになり,来年度は総合教育研究所と連携して,「論理性を意識した英作文指導」を公立6校で実施する準備を整えた。
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