研究概要 |
国際化した現代社会において、早期英語教育の問題は、日本国内のみならず、アジア諸国、ヨーロッパ諸国、中近東、アフリカなど、世界中で広く論じられているテーマである。 英語を早期から学ぶ利点はあるのか、あるとすればどのような利点なのであろうか? 本研究においては、2007年度に収集されたデータを基に、学習者の過去から現在に至るまでの数年間に渡る英語学習に対するモーティベーションを縦断的に調査した。その結果、Boku(2005)において、中学2年生という学年と現在の被験者の英語力との関連性が報告された。しかしながら、Boku(2005)においては、motivationの尺度の信頼性の調査には至っていなかった。そこで、Boku(2008)において尺度の信頼性に関する調査を行ったが、結果として高い信頼性を得ることはできなかった。一方、Boku(2008)において量的分析と併行して行ったナラティブ分析については、次のような結果が得られた。量的分析のpre、post-testにおいて数値に一致部分が少なかった学習者のナラティブを敢えて抽出し、pre、postの比較を行ったところ、pre、postのナラティブに共通する記述内容が多く見受けられることが結果として得られた。量的分析では信頼性を得ることができなかったものの、ナラティブによる分析では、pre、post-testに何らかの関連性があることが否定できないということがわかった。回顧的分析手法の問題点であるスケールの信頼性の問題は、量的分析と質的分析を併用することで量的分析の弱点を補填できるではないかという議論が検討課題として残された。 本年度は、2008年度に引き続き、ナラティブを中心とした質的分析、及び、アンケートのその他の質問項目に関する分析結果の報告も予定している。 Boku, M(2005, July)From theory to practice : EFL learners' metacognitive strategy development. Paper presented at the 14^<th> World Congress of Applied Linguistics, Wisconsin. U.S.A Boku, M(2008, August)Instrument reliability in EFL learners' motivational analysis. Paper presented at the 15^<th> World Congress of Applied Linguistics, Essen, Germany.
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