2007年8月3日から9月11日まで、アメリカ合衆国ノースカロライナ州で課題テーマに関するリサーチを行なった。具体的には、ノースカロライナ大学のSouthern Historical CollectionのCameron Family Papersに収められている7点の奴隷財産目録から黒人奴隷たちの名前、性別、年齢などの個人データを収集した。これで、このプランテーションで働かされていた奴隷たちの奴隷制時代の家族のデータベースを構築する上での基礎データを揃えたことになる。現在、このデータは名前のアルファベット順に並べて整理した状態になっている。しかし、残念なことに姓名のうちの名前と性別・出生年だけのデータだけでは個人を特定することが困難で、1866年の同棲登録データや1870年および1880年のセンサス原票のデータと対照してこれらを統合するには、少なくとも奴隷解放後に彼らがどのような姓を採択して自分の名前を決定したか調べることが必要だと判明した。これには、おそらく死亡時に埋葬された墓地に行って墓碑銘の調査を行なうことが必要と考えられる。この調査については2008年度に持ち越すことになった。今後は現在の800人あまりの個人データの姓名を確定した上で、同棲登録およびセンサスの記録と照合し、奴隷解放の前後でどの程度の割合で家族組織が維持存続したかという本研究の課題について、一応の結論を出したいと考えている。 また、2007年11月20日から11月26日にスペインのバルセロナで開催された国際ワークショップに参加して、意見交換を行った。
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