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2007 年度 実績報告書

近代オーストリアの自由主義と郷土愛の醸成における有志消防団協会の歴史的役割

研究課題

研究課題/領域番号 19652070
研究種目

萌芽研究

研究機関大阪大学

研究代表者

水野 博子  大阪大学, 大学院・言語文化研究科, 准教授 (20335392)

キーワード有志消防団協会 / 自由主義 / オーストリア近現代史 / 市民社会
研究概要

初年度はオーストリアにおける有志消防団協会の歴史的位置付けに関する作業を中心に取り組んだ。特にオーストリア史における協会研究を体系的に文献収集するとともに、自由主義社会の考察に重要な分析の視角である「公共圏」についての諸理論を整理し、有志消防団協会の公共空間における位置価値を確認した。
本研究の具体的検証の対象となるホーエンエムス市の有志消防団協会に関しては、オーストリアで関連史料の収集を行ない、同協会の創立から現代に至るまでの歴史を明らかにした。また、他のオーストリア地域の有志消防団協会との比較も視野に入れながらその主な活動内容を調査した。具体的には消防団団長を頂点とした準軍事的な編成原理に基づく近代的な組織化や、自治体市政の協力を前提としたさまざまなレベルにおける消防団大会の参加・開催や防災訓練の規律化、さらには消防団幹部教育の実践や消防団舞踏会などの祝祭の開催などの諸活動について調査し、ホーエンエムス有志消防団協会の組織の具体像と市政との関係の把握に努めた。
これらの調査結果に基づいて、1.ホーエンエムス有志消防団協会には、郷土を保護する意識=市民的価値の普及に努め、そこからさらには地域密着型の郷土愛の醸成に貢献する役割が認められる反面、2.そうした「市民」的価値を共有できない団員の「排除」に顕著に見られるような「市民型」の「開かれたメンバーシップ」の理念と矛盾する状況について議論し、3.19世紀後半〜20世紀のオーストリア自由主義社会に内在する「閉鎖性」の問題を検討した。その成果は、部分的に社会思想史学会におけるセッション報告、及び韓国・ソウル市において開かれた第5回国際大衆独裁会議における研究報告と討論に反映させた。また、より詳細な成果は同国際会議の成果論文集(2009年中に出版予定)の発表原稿に反映させる予定であり、現在その執筆準備を進めている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2007

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 英雄と犠牲者のはざまで-戦後のオーストリア・日本両国における戦没者の顕彰・追悼と国民形成を中心に-2007

    • 著者名/発表者名
      水野 博子
    • 学会等名
      社会思想史学会
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      2007-10-14
  • [学会発表] Protecting the Hometown: Austrian 'Volunteer Firefighters' Association as a 'Public Sphere2007

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Mizuno
    • 学会等名
      The 5th International Conference of Mass Dictatorship (Mass Dictatorship and Modernity)
    • 発表場所
      漢陽大学(大韓民国・ソウル市)
    • 年月日
      2007-06-26

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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