ケニアにはろうの青少年のための、学業を主たる目的とした中等学校が西部に2校、中央部に1校ある。そこには、ケニアのみならず、ウガンダ、タンザニア、ソマリア、エチオピアそして遠くはザンビアなどからの生徒が在籍している。これらの学生たちは、当然、ケニアの学校でケニア手話を使い、ケニアのろう文化に浸かる。そして、それを自国に持ち帰る。その結果、これらの国々のろう社会にはケニアろう文化の影響が少なからずあるものと思われる。 19年度に行った資料収集(西ケニアにある二つのろう者のためのセカンダリースクール、すなわち、Saint Angela Mumias Secondary School for Deaf GirlsとKuja Special Secondary School for the Deaf、およびケニア中央部にあるRev.Muhoro Secondary School for the Deafを訪れ、過去に在籍した近隣諸国の生徒の出身国、在籍者数等のデータを調べ、当該学校においてどのくらいの近隣諸国出身者が在籍したかなどのデータを収集)に基づき、20年度は2008年11月現在、同上校に在籍中の学生と2009年3月現在ケニアで仕事をしている卒業生(計およそ15名)に聞き取り調査を実施した。そして、21年度は過去2年間のデータをもとに研究成果のまとめに着手した。母国に帰国した学生のフォローアップ調査(タンザニア・ウガンダ等)も今後さらに必要である。
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