平成19年度は、まず我が国の青少年のライフスタイルや価値観、動機付けの機会などを含め、その成育環境をトータルにとらえるための調査に着手した。 最初に、日本全国の中で「学力低下」が問題となっている高等学校に関する情報を幅広く収集し、本研究課題を遂行するうえで調査対象として滴当な事例をいくつか選定する作業をおこなった。そのうえで、数名の生徒に対して、予備的な聞き取り調査をおこない、a)当該青少年を取り巻く成育環境の実態、b)青少年の「学力」や学校教育に対する意識調査、c)当該青少年が生きていくために必要と感じている知識や技術、d)当該青少年の道徳観、倫理観、に関する資料を収集・整理した。また、調査補助者に依頼して、これと同様の項目に関する聞き取り調査を実施してもらい、それぞれ資料を収集・整理した。 これらの調査により、「学力低下」が問題となっている高等学校の生徒たちが、学校教育に期待しておらず、そもそもほとんど意義を見出していないか、極端な場合には不必要とさえ思っている可能性があることが明らかになった。これは、本研究課題の前提となる問題意識が妥当であることを示唆するものであり、次年度に向けてその背景や理由に関するより詳細な調査が望まれる。ただ、これらはまだ予備的調査の段階であり、早急に一般化はできない。また、事例を抽出する際の選定条件についてはより慎重に考慮する必要もある。これらは、いずれも次年度に向けての課題となる。
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