オークション参加者の対象財の価値に関する確率分布に関する仮定の検証の枠組みを構築するとともに、実験データの性質、そしてその統計的推測に関して考察をおこなった。 オークション理論において導き出されている性質の多くは参加者のリスクに対する選考としてリスク中立性を仮定しているが、この仮定の実証可能性について次の二点について検討した。一つは、実験によりデータを収集するためにはこのリスクに対する態度を統制する必要があるが、提唱されている統制法がどの程度まで適切であるのか、もう一つは実験データをもちいたノンパラメトリックモデルの構築とその推定問題である。従来の統制方法は段階的な試行により被験者からデータを引き出すものであるが、代替的な統制方法を理論的に構築することを現在、検討中である。ノンパラメトリックなモデルに関しては、ある程度、モデルに対する仮定をもちいなければ頑健的な結論を導き出すことが難しいことを確認しており、セミパラメトリックス的なアプローチの適用可能性を検討している。
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