不動産用語概念の検討という視点からは、不動産用語概念を明確にするため、主な投資・取引用不動産用語約400語を選定し、参考資料で解説される頻度が高く、意味に揺れがあると思われる用語について解説集を作成した。また、基本的な不動産情報として住宅の間取り図を取り上げ、被験者が様々なタイプの聞取り図をどのように分類するかを調べることにより、読み手が着目する間取り図情報および間取りの概念について分析をおこなった。さらに、米国の連邦政府が各省の不動産管理の統一的運用を行うための仕組みについて解説した。 不動産情報の標準化という視点からは、XMLを用いた不動産情報の標準交換形式のプロットタイプを作成し、実際の不動産データをあてはめて、その検証を行った。 不動産情報の標準化の意義の検討という視点からは、不動産情報が充分に行き渡らないことによって、どのような弊害が生じるか、経済学の分析枠組みを用いて整理した。次いで、情報が欠如による不動産の売買の阻害、および不動産業者が情報を独占することによる不動産価格の歪みという2つの弊害について理論的考察を加えた。また、実証的な応用として、住宅価格を左右する要因についてヘドニック分析を行った。結果として、住宅価格の決定に際して、不動産投資に関する情報が重要な役割を果たしていることが明らかになった。さらに、近畿地域の重要伝統的建造物群保存地区を事例に、不動産情報をもちいたヘドニック分析を行った。
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