本研究の目的は、保健・医療・福祉と就労支援が一体となったプログラムである「個別職業紹介とサポートによる援助付き雇用プログラム(Individual Placement Support Program:IPS)」をパイロット的に試行し、相談からフォローアップまでを重視する訪問型個別就労支援の方法を検討することである。本年度は、訪問型個別就労支援のポイントを見るため、<研究1>就職レディネスの測定(Employment Readiness Checklist for the Disabled:ERCD)、<研究2>健康関連QOLの変化(MOS36-Item Short-Form Health Survey:SF-36)を用いて調査を行った。<研究1>調査対象者は、地域活動支援センターの利用者29名である。調査の結果、平均合計得点は210点であり、全体的に職業人としての準備が整っていることがわかった。支援のポイントとして、(1)医学的な特徴の把握と指示内容についての情報管理、(2)就業規則に適合する勤務体制の調整が大切であることがわかった。<研究2>調査対象者は、域活動支援センターの利用者73名である。調査の結果、国民標準値(norm-based scoring:NBS)との偏差得点との差が大きく現れたのは、日常役割機能:精神(RE)と心の健康(MH)であり、就労と日常生活の間に何らかの関係があることがわかった。支援のポイントは、支援段階における心理的サポートのあり方ということがわかった。
|