観察研究:保育園3園の1-2歳児クラスを中心(昨年度から継続の0児を含む)に子ども同士の日常の関わりを観察、ビデオ映像から抽出したコミュニケーション行動を、身体表現(視線、身体の動き、接触等)と言語表現の両面から分析した。結果と意義・重要性0歳代の要求・拒否・受容などの身体的な表現とその読みとりを経て、1歳前半までは身体的コミュニケーションの方が優勢であるが、後半には要求・拒否表現を中心に言語コミュニケーションが増えるのが観察された。1-2歳の子ども同士の関わりが対象、保育の場での日常経験を共有する中でのコミュニケーションの分析、言語コミュニケーションの発達過程を身体的コミュニケーションとの関連でとらえた、という点で先行研究があまりなく、この時期の子ども同士の関わりの重要性を示した点で意義がある。調査研究:関東・山梨県の1都7県の保育所の0歳児担当経験者を対象に、子ども同士の関わりをどう見(観察)、どう意味づけ(考え)、どう対応している(行動)かを調査し、145園(質問紙郵送保育所数355、回収率40.8%)、384名の回答を得た。結果と意義・重要性約3割の保育士が、4-5ヶ月の子ども同士の関わりにも意義を認め、促す行動をしているが、全体的には、7-8ヶ月児に対しても子ども同士の自律的な関わりを促すよりも大人が介入して仲立ちすると答えた者が多かった。考えと観察、行動との間には一貫性が見られ、子ども間の関わりが大事だと考える者の方がそのような行動をよく観察し、促す傾向があった。 子どもの発達、特に他児と関わるコミュニケーション能力の発達を促す保育のためには、子ども同士が関わる行動に注目し、その意義を認識することが大事であることが示され、今後の保育のあり方を探り改善の方向性を示すことができた点で意義がある。
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