• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

標準的経済学に対するアノマリーの代替的説明としての心理学的接近の可能性の検討

研究課題

研究課題/領域番号 19653064
研究機関武庫川女子大学短期大学部

研究代表者

安藤 明人  武庫川女子大学短期大学部, 人間関係学科, 教授 (70159523)

キーワードダブル・オークション / 実験市場 / MUDA / 効用関数 / ワルラス的調整過程 / 完全競争均衡 / 最大効用 / 実験経済学
研究概要

本年度は,実験的に設定した市場において,市場の参加者が自由に売値買値をつけられるダブル・オークションを行うことにより,ワルラス的調整過程により完全競争均衡が達成されるかどうかを検討した。経済学に関しては日常生活レベルの知識しか有していない心理学を専攻する女子大学生14名により,カリフォルニア工科大学で開発されたMUDA (multiple-unit double auction)という手法による実験を実施した。各実験参加者の初期保有量は,キャッシュY=20,商品X=0の者が7名,キャッシュY=0,商品X=10の者が7名であった。
実験では1回5分のラウンドを10回連続してダブル・オークションによる取引を実施した。実験に使用した利得表で示された効用関数および初期保有量から導き出される均衡価格の理論値は3円であった。効用関数は,準線形の効用関数を用いた。利得表は横が抽象的な商品Xの数量,縦がキャッシュYの数量を示すマトリックになっており,商品XとキャッシュYの交点にその得点が示されていた。
取引は,最初理論値である3円の3分の1から半額近くの低値で始まったが,その後しだいに成立価格が上昇し,最終ラウンドでは平均2.67円と,理論値に近い取引が多くを占めるようになった。このことからこの実験市場で,完全競争均衡に向けてワルラス的調整過程が機能していたことが確認された。また,7ラウンドまでは売り注文より買い注文が多くコールされたが,その後売り注文が増え,最終ラウンド近くでは,最初と逆転して売り注文のほうが多くなった。この現象の解釈については今後の詳細な検討が必要だが,いずれにせよ,参加者は取引を繰り返す中で,最大効用の実現のために学習を行っていたことが示唆された。

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi