研究概要 |
Sonuga-Barke et al.(1992)を参考にした上で、児童が課題要求の必然性を理解しやすいように賞金稼ぎのストーリーをもった2種類の怪物を捕まえる選択遅延課題を作成した。選択遅延課題は賞後遅延なし課題と賞後遅延あり課題の2つとし、それぞれの課題でたくさん賞をもらえる選択肢を選んだ率をL選択率とした。 賞後遅延なし課題では賞までの遅延時間が長い(30秒)と得られる賞が大きく、賞までの遅延時間が短い(2秒)と得られる賞が小さいという条件で、被験者にどちらかを選択してもらう。賞後遅延あり課題では賞までの遅延時間が長い(30秒)と得られる賞は大きく、次の試行までの時間が短い(2秒)課題と、賞までの遅延時間が短い(2秒)と得られる賞は小さく次の試行までの時間が長い(30秒)という条件で被験者にどちらかを選択してもらう。 公立小学校に通う2,4,6年生121名を被験者とし、この課題を実施した。賞後遅延あり課題のL選択率と賞後遅延なしのL選択率について1要因分散分析を行ったところその結果は、賞後遅延あり課題において群の効果が有意であったが、賞後遅延なし課題において群の効果は有意でなかった。多重比較の結果を見てみると、2年生女子のL選択率が他の群に比べて有意に低かったがそれ以外では有意な差は見いだせなかった。このことから各課題のL選択率においては、学年の進行に伴ってみられる発達的変化の規則性は見られなかった。
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