研究概要 |
H20年度の前期は,被験者が質問紙に回答するさいの認知的なプロセスに関する基礎的研究を行った。具体的には,回答に用いられる評定尺度法の形式的な違いによる人為的な回答の誘導や,質問項目のワーディング(主語の有無,参照期聞の違いなど)や前後の項目による文脈効果などについての文献研究を行った。 H20年度の後期は,H19年度に収集した授業中の学生の会話を分析し,「仕様書」がこちらの意図したように使われたか,妥当性の概念理解を促進していたかについて,検討を行った。この結果と前期に行った文献研究を踏まえ,授業プログラムや配布資料などの改訂を行い,毎週の授業で実践した。 授業では,初回に受講者に対して研究への協力依頼を行い,書面によるインフォームド・コンセントを得た。また心理尺度や妥当性についてのイメージや予備知識を尋ねる質問紙を実施した。グループ討議開始後は,討議時の発話をICレコーダーで記録したり,小アンケートを実施したりして,尺度作成や妥当性に対する理解の実態を記録した。学生が作成した尺度仕様書や質問項目のリストなどはファイルの形でも提出してもらった。 また,毎週の授業が終わるごとに,学生の理解の様子や授業進行上の問題を振り返り,学生が無理なく理解するためにはどうしたらよいかを検討した。そして,最終的に提案する授業プログラム案として,典型的な授業内容と構成,注意点を毎週の授業プランとしてまとめた。 これらの収集資料は,グループごとにポートフォリオにまとめた。録音データはアルバイトに委託してテープ起こしを行い,文書としても保存できるようにした。
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