研究概要 |
本年度は探索刺激の桓類と言語情報の槙類を操作して言語的加重効果の生起する要因を特足することを目的とした。第1に,音声的な情報を先行呈示,または同じて維持することによって探索を促進するか否かを調べた.無意味音声を非効率的探索画面に先行して呈示する実験を行った.このとき,特定の音声が特定の標的位置と対になって呈示されるとき,被験者はこの連合に意識的に気づかない場合であっても,この連合を利用して探索を促進することができた(成果11.1).次に,言語的加重効果を確認するため,色(赤・緑)と方位(縦・横)の6-18の要素からなる結合探索画面に加えて,標的を知らせる聴覚情報を2種類のタイミング条件で呈示した.いずれの条件も,"探すものは赤色の縦です"というように標的色と方位の組み合わせを知らせる2.5秒の音声であった.一つ目の条件では音声を先に呈示し,その直後に視覚探索刺激を呈示した(音声先行条件。もう一方の条件では,視覚刺激のオンセットを1.5秒前倒しし,"探すものは"と聞こえた時点で視覚刺激が呈示されるようにした.そのため,この条件では視覚探索をしている問に標的の組み合わせを知らせる聴覚情報が同時に呈示されていた(聴視覚同時条件).実験の結果は.聴視覚同時条件では探索の効率が向上したことを示していた.しかし,この結果は聴視覚向時条件では標的め定義特徴が段階的に呈示されるため,標的属性を段階的に絞るサブセット探索をしていたために探索効率が上がった可能性がある.この点を検討するために,次の実験では結合探索ではなく,文字の探索課題を用いて同様に2つのタイミングで聴覚刺激を呈示した.その結果,文字探索では聴覚情報同時呈示による探索効率の向上は見られなかった.そのため,聴覚情報同時呈示によって探索効率を向上させると考えられる相互作用の性質を詳細に特定する必要があると考えられる.
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