研究概要 |
本研究は、欧米の臨床(医学)教育の現場で、教育学専攻者のスタッフ(educationalist)がどんな経験をし、いかなる役割を担い、どんな研修を受けているか、求められる資質や能力はいかなるものかを、実地の現場見学とヒアリング、当事者や関係者のインタビュー等から考察するものである。 平成19年度は第一に、イギリス予備調査として、6月19日〜26日、ロンドン大学教育研究所(Senior Lecturer David Guile博士)、ロンドン医事局London Deanery (Tim Swanwick博士)、英国医事委員会(GMC、 3en Griffith氏)、ロンドンのSt. Mary's Hospital(プログラム・オフィサーSandra Nicholson氏)で、教育学専攻者の現状や役割に関するヒアリング・情報収集調査を行った。ロンドン大学ではM.A. in Clinical Educationコースの開設・運営に関する貴重な情報提供を受け、京大医学教育推進センター平出敦教授のご協力を得て、Guille, Swanwick両氏との臨床(医学)教育の研究プロジェクト開始の合意に至った。第二に、日本医学教育学会での教育講演(2006年7月、奈良県立医科大学)の活字化をはじめ、成人教育原理が臨床(医学・看護)教育の現場にどう貢献できるか、という観点から現時点で可能な考察を行った(他に「『おとな』を『おしえる』という考え方のすすめ」『Nursing BUSINESS』第1巻4号、メディカ出版、2007、pp.30-35)。第三に、英国医事委員会が2003年に刊行した卒前教育に関わる文書Tomorrow's Doctorsについて内容を検討し、資料紹介としてまとめた。同文書の翻訳作業もほぼ完了した。第四に、平出教授とともに「医療と教育を考える勉強会」(2006〜)を主宰し、医療現場や臨床(医学)教育への生涯教育学からのアプローチ方法を模索するとともに、臨床教育専門家の養成についての活発な情報交換・意見交換を行った。
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