3年計画で取り組む本研究の1年目は、日本における校内の第三者機関および校内分掌における教員による子どもの救済制度の制度研究を主として行った。 校内の第三者機関による取り組みとしては、2007年8月と香川県におけるスクールソーシャルワーカー派遣事業について、県教育委員会、スクールソーシャルワーカーに対しヒアリング調査を行った。また2007年9月には、兵庫県赤穂市と大阪府におけるスクールソーシャルワーカー派遣事業について教育委員会、スクールソーシャルワーカーおよび派遣対象校の学校長にヒアリング調査を行っている。各自治体で進む実践を調査する一方で先行研究を研究し、その一環として研究者と意見交換を行うほか、いち早く学校内に定着したスクールカウンセラー制度にも注目し、実践家と意見交換も行った。 校内分掌における教員による取り組みについては、2007年9月に公立小中学校に2005年より児童虐待対応キーパーソンを配置した埼玉県教育委員会と配置校学校長および担当教員にヒアリング調査を行った。また、2007年11月には2006年から児童虐待防止対応担当者を各小中学校に配置した神奈川県相模原市の教育委員会、子ども家庭支援センターおよび青少年相談センターの担当者、配置校学校長と担当教員にヒアリング調査を行った。さらに2007年7月には2004年から公立小中学校に児童虐待対応教員を配置している滋賀県教育委員会に対し文書による調査を行っている。 1年目の成果として上記の調査結果(各自治体の制度概要)を「学校における相談・救済制度に関する調査研究資料集-スクールソーシャルワーク(SSW)及び児童虐待対応教員に関する制度の自治体・学校調査資料-」にまとめ、早稲田大学哲学会教育学部会において発表した。 2年目はさらに情報収集に努めるとともに、実践の実態にまで研究の幅を広げ研究を深める予定である。
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