3年計画で取り組む本研究の2年目は、主に、日本におけるスクールソーシャルワーカー(以下SSWr)活用事業の展開を中心として調査・研究を行った。 その具体的な方法は、SSWr活用事業を行う3つの自治体を訪問し、ヒアリング調査を行うというものである。(1)SSWrを指定された拠点校を中心に活用している大阪府寝屋川市に2008年9月に訪問し、その事業が第2期を迎えていることを確認した。また、前年度まで拠点校であった小学校へもヒアリングを行い、スクールソーシャルワーク導入の成果と教職員の変化を調査した。(2)市区町村の実践を支える都道府県の役割を調査するため、2008年11月に大阪府を訪問し、府として精力的に展開してきた背景や、都道府県と市区町村の関係などの聞き取りを行った。(3)大阪府の取組として、派遣型のSSWr活用事業を行う大阪府箕面市に3月に訪問し、拠点校型と派遣型の比較を試みた。これら3自治体への調査は、SSWr派遣事業の全体像と多様なあり方を追求することを目的としている。その関連として、2008年4月から全国141地域において導入された文部科学省・SSWr活用事業の全委託先にアンケート調査を行った。 また、自治体ではなく、学校独自にSSWrを活用する動向を探るため、不登校児童を優先的に受け入れている東京シューレ葛飾中学校に調査を行い、教職員の1人として学校に関わるSSWrの可能性を研究した。 その他、学校の抱える問題を再度確認するため、校区内に児童養護施設を抱える熊谷市と目黒区の学校を訪問し、今どのような支援が求められているのか、そのためにはどのような制度や人員が必要とされているのか、既存の学校と福祉施設の連携はどのようなものか、またその課題は何かの洗い出しを行い、次年度の報告書に盛り込む制度設計の提案の方向性を確かめ、研究を進めた。
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